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「情報法関連オススメ海外文献10選+おまけ」のコメンタリ


情報法関連オススメ海外文献10選+おまけ(by 独断と偏見) - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常

 

ronnor先生が、わくわくする素敵な企画を公開されている。
もっとも、すべてが海外文献ということで、実際はかなりハードルは高い*1。そこで、「情報法は若干興味があるけど英語はダルい…」「図書館とか本屋とか行くの面倒…」「知ったかぶれる程度で…」という方のために、だいたいはネットで読める邦訳や日本語関連文献を紹介したい。

 

 (1)John Perry Barlow, A Declaration of the Independence of Cyberspace

A Declaration of the Independence of Cyberspace

サイバースペース独立宣言」の歴史的・思想的背景、すなわち、ハッカー文化カリフォルニアイデオロギーについて簡潔にまとめた日本語文献として、東浩紀「サイバーリバタリアニズムの限界」(『中央公論』2002年11月号)がある。ウェブでも下記にて閲覧可能である。

波状言論>情報自由論>第5回

 

(2)Lawrence Lessig, The New Chicago School

http://www.jstor.org/discover/10.1086/468039

上記文献および『CODE』の要旨を4行でまとめたものとして、山形浩生「『コモンズ』訳者あとがき」がウェブ上で公開されている。タイトルからもわかるとおり、下記文献は Lawrence Lessig, The Future of Ideas: The Fate of Commons in a Connected World のあとがきであり、同著についても概観できる。Lessingの議論について「日本にとっての意義」も提示されるなど、一粒で何度も美味しい。

http://cruel.org/foi/foitrannote.pdf

なお、レッシグの「転向」についてとCODE VERSION 2.0 出版前後の状況については yomoyomo「CODE 2.0とレッシグ2.0」が参考になる。当時は Aaron Swartz も存命であり、時代の流れを感じさせられる。

CODE 2.0とレッシグ2.0 | ワイアードビジョン アーカイブ

 

(3)James Grimmelmann, INTERNET LAW: CASES AND PROBLEMS

https://www.semaphorepress.com/InternetLaw.html

ケースブックであるため、日本語の関連文献はなかなかない。しかし、「無名の一知財政策ウォッチャーの独言」における著作権国際動向が、一定の指針を示してくれるだろう。英米だけでなく、独仏、EUなどの最新判例動向や立法情報が紹介されている驚異的なブログである。

無名の一知財政策ウォッチャーの独言

 

(4)Cass R. Sunstein, Republic.com 2.0

Sunstein, C.R.: Republic.com 2.0 (eBook and Paperback).

上記に関連する日本語文献として、荻上チキ『ウェブ炎上』がある。下記の記事から、その内容を伺うことができる。

荻上チキ著『ウェブ炎上』とサンスティーン著『Republic.com 2.0』 - 荻上式BLOG

 

(5)Jonathan Zittrain, The Future of the Internet ; And How To Stop It


Download :: Future of the Internet – And how to stop it.

上記文献については、ronnor先生のご指摘のとおり、邦訳が出ている。また、同著者の A History of Online Gatekeeping の邦訳は、ネットで公開されている(宣伝)。

多元分散型統御を目指す新世代法政策学:知的財産法政策学研究28号

 

(6)William Fisher, Promises to Keep: Technology, Law, and the Future of Entertainment

Promises to Keep

上記文献は、序文の和訳が公開されている

Promises to Keep, INTRODUCTION - 雑記帳

関連文献として外せないのが 『デジタル音楽の行方』である

『デジタル音楽の行方』サポートページ

 

(7)Yochai Benkler, The Wealth of Networks

Yochai Benkler

UGC (User Generated Contents) の発達構造に関する日本語文献としては、やはり濱野智史アーキテクチャの生態系』だろう。著者が、いまやアイドルプロデューサーになった点も感慨深いものがある。

アーキテクチャの生態系 情報環境はいかに設計されてきたか|書籍出版|NTT出版

 

(8)Tim Wu, Network Neutrality, Broadband Discrimination

Network Neutrality, Broadband Discrimination by Tim Wu :: SSRN

Network Neutralityについては「自由の彼方の変わることなき独占? ティム・ウーの新刊『The Master Switch』」が参考になる*2

自由の彼方の変わることなき独占? ティム・ウーの新刊『The Master Switch』 | ワイアードビジョン アーカイブ

 

(9)Christian Peukert他, Piracy and Movie Revenues: Evidence from Megaupload: A Tale of the Long Tail?

Piracy and Movie Revenues: Evidence from Megaupload: A Tale of the Long Tail? by Christian Peukert, Jörg Claussen, Tobias Kretschmer :: SSRN

上記はMegauploadに関する研究だが、関連する日本の実証研究としては、田中辰雄「著作権の最適保護水準を求めて」がある。Winnyのファイル交換における全数調査がされており、違法利用を抑制する手段を講じた上で「ある程度のコピーを認めることでユーザの利便性を高めることは社会的に望ましいことになろう」と結論付けるものである。

http://www.moba-ken.jp/pdf/final_tanaka.pdf

 

(10)Christian Peukert他, Piracy and Movie Revenues: Evidence from Megaupload: A Tale of the Long Tail?

Hollywood Online: Fan Fiction, Copyright, and the Internet by Natalia Cianfaglione :: SSRN

上記文献が米国の同人誌文化を考察するのに対して、下記文献は、外国から見た日本の同人誌文化の分析である。著作権との折り合い方が特徴的と指摘している。

Copyright and Comics in Japan: Does Law Explain Why All the Cartoons My Kid Watches are Japanese Imports? by Salil K. Mehra :: SSRN

なお、日本における取り組みとして、「同人マーク」がある。

同人マークFAQ よくある質問と回答 | commonsphere

 

(おまけ)James Boyle, A Politics of Intellectual Property: Environmentalism For the Net?

A Politics Of Intellectual Property: Environmentalism for the Net? by James Boyle

キャンペーンの必要性を訴える論文で、私のキャンペーン論の原点のひとつである。ぜひご一読いただきたい。

*1:ronnor先生のことですから、もちろん国内文献について別途選書し、記事化して下さるものと確信しております

*2:「情報共有の未来」は素晴らしい連載だなとしみじみ感じた